ブログ−2014年
建築業界見晴台…「この一年を振り返る」 2014年12月26日(金)
建築工事費については消費税駆込み需要の喚起・公共工事の大量発注・震災復興工事・オリンッピク工事・リニア新幹線工事等が重なり、職人不足を増長させた為一気に価格高騰をもたらしました。消費税3%上昇分の影響の比ではありません。この影響で一般建築の需要は急速に冷え込んでしまいました。収入環境が変わらず建築費だけが高騰したのですから当然の流れです。業界では職人不足・材料費上昇で当面は仕方ないと言われています。果たして発注者側から見て納得されるでしょうか。
1980年代の官制バブルを思い出してください。実態経済とは関係なくバブルが増長され日本経済と国民全体が振り回され大混乱が生じました。結果日本経済の失われた20年(30年?)と言う悲惨な付けからなかなか抜け出せません。今回のアベノミクスも実態経済を無視しているのは一緒ですから、この先恐ろしい結果が待ち構えていそうです。1000兆円の借金をつくったのは一体誰でしょうか?権限があっても責任を取ることは全くないのでしょうか?失敗の責任を国民が負うのは不合理です。
この先々他の諸物価を無視した今の建築工事費がいつまで通用するのでしょうか?大きな不安を感じます。一般建築工事発注が低調の中、今は増税対策で前倒し発注の設備投資絡みの工事・公共工事・震災復興工事等で繁忙なのですが、それもいつまで続けられるのでしょうか?また輸出頼みの製造業の復調にいつまでも依存できるのでしょうか?国富を無駄使いし続け国民へ付け回しをする政策が今後も続くのでしょうか?自ら血を流す大構造変革が今ほど国に求められるときはありません。
賃貸住宅見晴台…「前年比増続く賃貸住宅着工」 2014年12月12日(金)
いよいよ相続税増税が2015年1月1日より始まります。基礎控除の非課税枠が4割も減らされ今まで相続税に無縁だった人々もこれからは相続税の納税負担者となるケースが確実に増えてきます。節税対策として生前贈与が効果的であることは衆知のとおりですが、賃貸住宅建設により相続時の課税評価を下げまた借入金によって相続財産の評価減を図る方法も効果があります。賃貸住宅入居者の借地権等で資産評価が差し引かれたり建設のための借入金が負の相続資産として算定されるからです。
相続税強化の舞台裏では生前贈与による高齢者から若い世代への資産シフトがさらにし易くなるようにと政府の税制が変化してきています。最近になって既にある住宅取得費・教育費の贈与税の免除に続き結婚・子育て費用も一定の条件で非課税にするとの報道もありました。さらにもう一つの方法として相続時資産評価を下げる従来よりある方法が賃貸住宅建設なのです。この節税法は昔から世間で知られているためか昨年より戸建住宅の着工減少を尻目に賃貸住宅の着工が増加しています。
一方その反面、国内住宅総数は6063万戸この内13.5%の820万戸が空き家(2013年10月時点)となっている現実があります。この中には相当数の賃貸住宅も含まれており賃貸住宅市場の物件供給過剰問題が社会問題にもなっています。さらに投資マネーの流入も拍車をかけています。現実に賃貸住宅を作っても入居者が埋まらないと言う困難に直面しているオーナーさんのお話もよくお聞きします。入居者が埋まらない賃貸住宅を作っては相続税対策どころか自己資産消滅に陥る可能性もあります。
これだけ多くの賃貸住宅が空き家になっている現実を知り建設時に安易な気持ちで行動しないようにしなければなりません。全部あなた任せの賃貸住宅量産業者に任せたり、長期の入居保証・家賃保証に依存したりするのは極めて危険なリスクが多く潜んでいるので充分ご注意ください。賃貸住宅/住宅建設への優遇制度は昔から政府の景気浮揚策の一つとして使われています。成功するのも失敗するのもあくまで自己責任なのでどうなろうと決して政府が責任を取ってくれる訳ではありません。
建築業界見晴台…「消費税増税延期と円安の影響」 ’14年11月28日(金)
傍らで円安の勢いが止まりません。円安の続伸で輸出産業が潤い国内景気が良くなると言っていたのも裏目に出ました。景気が良くなるどころか円安による消費者物価上昇と消費税8%増税のダブルパンチで庶民の財布の紐は一段と締まっています。富裕層はあまり影響がないのかも知れませんがGDPの6割を占める国内消費を支えているのは人数の多い一般庶民の購買力です。赤字国債を乱発する無責任政府と違い庶民は賃金上昇がないまま生活物価のみが上昇すれば倹約するのは必然です。
せめてもの救いは原油価格の値下がり傾向です。1バーレル100$〜110$もしていた原油価格が70$位まで低下してきました。資源価格の安定・下落と共にガソリン等の燃料価格の下落が鮮明です。追っ付け電気料金・ガス料金等にも影響が出てくるはずです。世界経済の減速とシェールオイルの登場それに省エネ社会到来が要因であるようです。地球温暖化を止めるためにも化石燃料の消費は抑制した方が人類のためにもなります。政策による物価上昇に苦しむ庶民には救いの神と言えます。
さて建築業界の状況は一部職種の職人を除き、逼迫した職人不足に変化なし。建設労働者がピークの約三割減少となっていますが、国内土建市場がピーク80兆円が今は約40兆円に半減、建設労働者もこれに伴い約三割減少したのですから職人不足になるのが不思議?…たぶん平均して三割減ではなくキツイ職種が多く減少したのでは。消費税増税延期は職人不足の緩和になり、円安傾向は建築資材価格の上昇となり需要の減少に繋がります。一長一短があり建築業界のこの先は良く見通せません。
久里屋設計界隈散策−その68 日泰寺奉安塔 '14年11月14日(金)
久里屋設計界隈散策−その67 放生池 2014年10月31日(金)
久里屋設計界隈散策−その66 四観音道の道標 2014年10月17日(金)
久里屋設計界隈散策-その65 猪高村役場跡碑 2014年10月3日(金)
久里屋設計界隈散策−その64 イチョウ並木の銀杏 2014年9月19日(金)
久里屋設計界隈散策−その63 小幡駅 2014年9月5日(金)
建築業界見晴台…「思い出されるバブル崩壊前夜」 2014年8月22日(金)
巷では“どこが景気が良いのか?全く理解できない”と言う声が殆ど共通の意見です。可処分所得が目減りして行く中、生活必需品の消費税増税に伴う便乗値上と円安による実質値上のダブルパンチにより生活が苦しくなった人々が目立って増えています。しかし生活必需品等は生活が苦しくなったからと言って、日常的に必要なものを買わないと言う訳には行きません。そのような食料品・日用品などの消費者データを抽出して、政府がそんなに景気は悪くないなどと言うのは愚の骨頂です。
株価上昇・一部の輸出型製造業の業況改善・優良大企業業況改善とか日本経済の局部的な側面のみ誇張して今マスコミで報じられています。しかし日本全体で見れば決して景気が良くなっているとは誰も思っていません。しかもNISA制度による個人資産や126兆円年金資金等まで投入してなりふり構わぬ人為的な株価吊り上げ操作を図ったり統計マジックを使って好景気ムードを演出したり、あらゆる手管を使い国民や世界の目をごまかし続けています。今ふとあのバブル経済の記憶が過ります。
1993年(実際には1991年崩壊)に表面化した先のバブル崩壊から続いている失われた20年(30年?)の景気の谷から今一瞬アベノミクスで景気が上昇したかのように思えますがこの状態いつまで持続できるのでしょうか。最近ごまかし切れない真実が色々なところで表面化し始めてきました。今水面下に隠されている真実の全体が表面化するのは時間の問題だと思います。少子高齢化社会になってしまった日本では過去の経験則による政策手法はもはや通用せずもっとまともな抜本的政策が必要です。
先のバブル経済は日本国民全体が大なり小なりその恩恵と影響を受けていました。その為意外に長くバブルが顕在化していました。しかし今回のアベノミクス経済下ではごく一部の企業と国民のみがバブルを享受しているだけだと言うのが先回との決定的違いで、共通しているのは実態を伴わぬバブル経済だと言うことだけです。そのようなアベノミクスは持続性も弱く早晩崩壊することでしょうしまた泣きを見るのも先回と異なり踊っているごく一部の企業と国民に限定されることでしょう。
久里屋設計界隈散策−その62 名東区内の蝉について 2014年8月8日(金)
久里屋設計界隈散策−その61 千種公園 2014年7月25日(金)
久里屋設計界隈散策−その60 地下鉄一社駅 2014年7月11日(金)
建築業界見晴台…「混沌とする建築業界と景気」 2014年6月27日(金)
4月以降の身近な物価を見ているとひどい便乗値上が横行しています。3月までは国の方針で5%税込価格表示でした。たとえば税込値段1000円の内訳が価格953円/消費税5%で47円でしたので消費税率を8%に変えると改定価格は税込1029円です。これが暫定的に税抜き表示が許可されたので税抜き価格1000円とすると消費税80円で売値1080円となるので、差し引き51円が便乗値上分です。「1000円の値札」…“前と変わらず嬉しい”と思いきやこんな子供だましの便乗値上が増えてしまいました。
消費税率引き上げのためのインフレ目標設定のもと昨年から行われている政策ですが、この実行のため様々な弊害が起きています。消費者の生活を無視した輸出型製造業の加護のための円安誘導により、輸入材に頼る国内諸物価がこの一年間でかなり上昇しました。便乗値上だけでなく、この影響で消費者物価指数が実質かなり上がってきました。輸出型製造業は潤っているかもしれませんが、年金生活者や一般庶民の暮らしぶりはかなり厳しくなっています。一体誰の為の政治なのですか?
建築業界はいまだに職人不足・下請会社減少と言う理由で建築工事費が高止まりしています。消費税駆込み需要はほぼ一巡したようですが、いまだ情勢の変化が現れてきません。建築工事費上昇は消費税増税の便乗値上とは異質な問題です。長年の建設需要の低迷と若年労働者の勤労意欲の薄れとで建設労働者が大幅減少してきた中、東北震災復興工事で建設需要が増えている最中のところへ急な消費税増税による駆込み需要・景気指数維持のための公共工事発注等で消化不良が起きています。
年金が削減され一般庶民の可処分所得が減少する中、国内消費の落込みが持ち直すと言うシナリオには論理的根拠がありません。値上がりと消費税増税で同じお金で買えるものが減っています。統計で言っている数字は金額のみの話で実質的購入内容の落込みが分かっていません。建築工事費が急に上がった影響で建築を取り止めた人が昨年以降多いと聞いています。巷ではこの先の建築工事の受注が冷え込んでいる様子が聞こえてきます。これから先どうなるのか全く予断を許さぬ状況です。
久里屋設計界隈散策−その59 上社ジャンクション 2014年6月13日(金)
久里屋設計界隈散策−その58 素盞男社 2014年5月30日(金)
久里屋設計界隈散策−その57 香流川引山橋 2014年5月16日(金)
久里屋設計界隈散策−その56 長養寺 2014年5月2日(金)
久里屋設計設計界隈散策−その55 愛宕神社 2014年4月18日(金)
久里屋設計界隈散策−その54 永弘院 2014年4月4日(金)
建築業界見晴台…「どうなる今年の建築業界」 2014年3月21日(金)
さて入院している間にはや4月になろうとしています。巷から聞く情報では、政府の政策により加熱した建設費が一向に鎮静せず建設受注にいまだに悪影響を及ぼし続けているようです。消費税の駆け込み受注の影響がまだ尾を引いているようです。しかしこの先建設業のみならず他産業も駆け込み需要の反動による落ち込みが待ち構えているのは、経験則から言っても火を見るより明らかです。国民(消費者)は過去に学習済みなので、半年ほどで回復基調に戻るなんて話は誰も信じていません。
建設業に限って考えれば過去の悪夢が鮮やかに蘇ります。以前の消費税増税の駆け込み需要の反動による建設需要の低迷は記憶に新しくまた長く深刻なものでした。産業空洞化かつ少子高齢者時代で非正規雇用が労働者の4割にも達する経済環境で30〜40年前の右肩上がりの高度経済成長時代と同じような経済手法が通用するとも思えず、消費税増税と円安誘導をベースにした今回の短絡的なデフレ脱出計画に対しては国民(消費者)は誰しもかなりの違和感・警戒感を持って冷めた目で見ています。
円安誘導での生産を高めれば雇用・生産が活性化し国内が潤うと言う話には国民は皆絶句しています。輸出型製造業は既にグローバル化を終えているからです。先の新聞記事にありましたが輸出型製造業の好調が意外に雇用・生産の面では国内的に良い影響が少ないと言うのを読みましたが言わずもがなと思います。GDPに大きな影響を与えているのがその約6割を占める国内消費であることからすれば日本の今回の円安誘導/消費税増税政策は果たして如何なものか?と考え込んでしまいます。