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ブログー2024年

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賃貸住宅見晴台 賃貸住宅市場動向

2024-05-31
 賃貸住宅市場の置かれている状況を今一度整理して見たいと思います。RC造・S造新築賃貸住宅の建築費は昔の安かった頃のほぼ2倍に高騰しています。木造は1.3倍位だと思います。しかしこの間勤労者の収入はあまり上がっておらず既存物件の家賃も建築費に比べればそれほど上がっていません…しかしRC造・S造の新築は急激な建築費高騰のため収支計算が合わなくなり銀行融資が付かないので壊滅的に建っていません。建っているのは借上保証付きの量産メーカー・賃貸マンションゼネコンの常識外れの設定家賃の物件だけです。現状を踏まえるとこの先賃貸住宅市場はどうなって行くのでしょうか?
1.新築RC造・S造マンション
 一般地主さんの土地活用の新築は事業収支が悪過ぎて自己資金をかなり用意しなければ銀行融資が付きません…もっとも設計施工丸投げでなく競争入札で適正建築費にすれば事業収支が向上し自己資金割合は減らせますが。例外的に資産家であれば事業収支が悪くても(賃貸事業自体は落第でも)自己資金なしで銀行融資が付くようです。即ち銀行は事業性ではなく対貸金返済能力で判断しているからです。
2.新築木造・軽鉄アパート
 木造・軽鉄造はRC造・S造ほど高騰していないためまだ事業性が健全レベルの域ですから銀行融資の対象になります。木造・軽鉄造(S造も同類に入る)の賃貸住宅は遮音性の点でRC造に劣っていますので界壁・床遮音の設計に充分注意が必要です。また木造・軽鉄造は大手ハウスメーカー・大手アパートメーカーが従来より量産モデルを大量供給しているのでこれらと差別化を図ることが重要と言えます。
3.新築木造戸建貸家・長屋貸家
 木造貸家も建築費の高騰率がそれほどでもなく銀行融資の付くレベルです。木造住宅の最大の弱点である遮音性は戸建は隣戸がなく長屋は遮音界壁でさほど苦になりません。分譲マンション・建売住宅・注文住宅が高騰し過ぎてマイホームを断念した世帯もマイホームの代替として住むことができます。今後はこの戸建感覚で住むことができる戸建貸家・長屋貸家(連続メゾネット)の人気が高まりそうです。
4.投資賃貸住宅(マンション・アパート)
 近年の投資ブームで盛んに建てられ都会(特に駅近)に多く集中しています。投資目的なので戸数を多く取るため窮屈な広さ・間取りでかつ高い家賃設定のものが特徴です。しかし人口減少下で需要をはるかに上回る供給をしているのと既存物件の多さで空室が際立っています。この空室が埋まるだけの需要もなく高い家賃も敬遠され今後はこれらの物件が中国投資住宅問題同様に社会問題となるでしょう。
5.既存賃貸住宅(マンション・アパート)
 2018年度の総務省統計によれば国内住宅総戸数は6242万戸、うち空き家割合は13.6%の846万戸、またその空き家の約半分の431万戸が賃貸用住宅となっています。もう寿命に近いものもあれば築浅でまだ充分住めるものもあります。新築が異常に高騰した現在、これらの空き家の中からリフォーム・リノベーションをすれば入りがよくなる可能性のあるものについては再生して活用すべきと考えます。
6.既存戸建空家
 同じく2018年度の統計では415万戸の住宅が非賃貸の空き家となっています。この中には今社会問題となっている戸建空家が多く含まれています。相続で貰ったもの、住む人がいなくなったもの、空き家には様々な理由があります。この中には手を入れればまだ充分住めるものも多く存在していると思います。これらの空き家は貴重な社会資産なので賃貸住宅として活用することを真剣に考えるべきです。

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