ブログー2022年
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建築業界見晴台 ロシア侵略戦争で建築工事費急騰
2022-05-31
ロシアがウクラィナへ軍事進攻を始めたのは今年2月24日でした。それから三ヶ月以上が経過しましたが一向に停戦する気配がありません。軍事進攻が始まって以来世界中で資源の高騰が起きています。エネルギー資源・工業資源・食料など色々なものが高騰し各国経済に混乱が生じています。生産者物価上昇に連れ消費者物価への波及が拡がり生活者レベルのインフレ影響が顕著になってきています。引き金を引いたロシア自体も世界中から制裁を受け困窮を極めているのが真実ではないかと思います。
今建築業界では鉄を始めとして木・石油製品など金属・非金属を問わず色々な建築資材の急な値上がりが目立ってきました。もともとコロナ感染拡大で既に3年前から経済に異変が起きていて建築工事費が上昇してきたところです…海外生産の部品が手に入らず給湯器が入手困難になったり半導体の生産が止まり種々の完成品の供給が停滞したり輸送手段が確保できずに製品・材料が入手困難になったりとかで色々な支障が拡大してきました。そこへ追い打ちをかけるようにロシアが軍事進攻を起したのです。
日本国で20世紀末に起きたバブル経済は政治が引き金を引いて起こしたものでしたがこの時にはピーク時にバブルの起きる前と比べ建築工事費は約2倍に膨れ上がりました。しかしこの時と比較すると大きな違いがあります。この時は世の中すべてがバブル価格だったのバブルがはじけるまではある程度持続していました。またバブル経済は日本国だけで諸外国はそうではなかったと思います。今回はバブルによる高騰でなく供給不足による高騰なのと世界中が高騰に巻き込まれているのが大きな違いです。
建築工事請負費に限って見れば20世紀末バブルの高騰が約2倍だったのですが今はリーマンショック後不況時の価格からすれば約2倍弱と言ったところか…この状態が続くと建築工事費請負価格が何割単位で上がることになります。建築主側にとっては大変苦しいことになります。インフレに乗じて儲かる企業はともかくそうでない企業や一般庶民の購買力・消費力は一段と弱くなります。必然的に 一般消費財と同様に建築需要がしぼんで行くことになり久々に建築不況に陥る可能性が高くなってきています。